多くの日本人は国籍を持ち、戸籍や住民票を所持しており、パスポートの発行も可能です。
しかし、国の象徴とされる天皇陛下には、これらの公的文書が存在するのでしょうか?
本記事では、天皇陛下が持つ国籍、戸籍、住民票、パスポート、そして運転免許証について解説します。
天皇陛下の国籍について
天皇陛下は国籍を持たない特別な存在です。
なぜなら、天皇は日本の国民ではなく、象徴とされているからです。
国籍とは、ある国の公式な市民であることを意味します。国籍の取得は各国の法律によって規定されており、日本の場合、国籍法に基づき日本国民と認定されることで国籍を得ることができます。
日本国民は、日本国籍を持つことを意味し、以下のように法律で明確に定義されています
●国籍法第2条「出生による国籍取得」
1:出生時に父又は母が日本国民であるとき
2:出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
3:日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき
●国籍法第3条「認知された子の国籍取得」
父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で18歳未満のもの(日本国民であった者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
●国籍法第4条「帰化(きか)」
本国民でない者は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。
帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
帰化とは、その国の国籍を持たない人が、その国の国籍を取得したいという意思表示を示し、国が許可をすることでその国の国籍を得る制度です。
日本国籍の証明は、戸籍謄本を通じて行われます。
戸籍謄本は、日本国籍の人のみに作成されることから、国籍の証明として機能します。
さらに、法務省によって発行される戸籍証明書も存在します。
天皇陛下には戸籍が存在するのか?
天皇陛下は通常の市民とは異なり、日本国籍を証明する戸籍を持っていません。
戸籍は、個人や家族の身分関係を公式に記録し、国民の登録を目的とした公文書です。家族は「戸」として一括りにされ、結婚や新しい家族の形成によって新たな戸籍が作成されます。
戸籍には個人の基本情報や家族関係が記載され、本籍地の市区町村に保管されています。本籍地とは、戸籍を保管する市区町村を指します。
天皇陛下が戸籍を持たない理由は、後述します。
天皇陛下は住民票やパスポートを所有しているのか?
天皇陛下には、住民票が存在しません。
住民票とは、住民の居住関係を証明する公的な文書で、「戸籍法」に基づいています。
この文書には、本人の基本情報や居住歴が記され、各市区町村で管理されています。また、住民票には本籍地や世帯主との関係など、選択的に記載する情報も含まれます。
天皇陛下はパスポートを持っているのか?
天皇陛下にはパスポートもありません。
パスポートは国籍や個人の身分を証明する文書で、国外での保護を求める際に使用されます。
日本では、パスポートの申請は各都道府県のパスポートセンターで行い、外務省が発行します。
パスポートを取得するためには、戸籍の抄本や謄本などが必要です。天皇陛下がパスポートを持たない理由も後で説明します。
なぜ天皇陛下には戸籍や住民票、パスポートがないのか?
天皇陛下や皇室の方々は、一般的な戸籍を持ちません。
代わりに、「皇統譜」と呼ばれる記録があり、これは皇室典範に基づき天皇や皇族の身分を記録した帳簿です。「皇統譜」には、男系の皇族の系統が記されています。
天皇陛下やその他の皇室の方々は、通常の戸籍がないため、住民票やパスポートも存在しません。
外国への訪問に際しては、元首として国際慣例に基づきパスポートなしでの出入国が可能です。
ただし、他の皇室の方々が海外を訪れる際は、特別な場合に限り一時的なパスポートが発行されることがあります。
皇室の運転免許証について
皇室の成員が運転免許証を持っているかどうかについて、一部の皇族は免許を所有しています。
一般の国民と同様、運転免許を取得するためには、自動車学校での実技と筆記試験に合格する必要があります。
しかし、皇室の成員には特別な配慮があります。
例えば、上皇陛下は昭和29年(1954年)に運転免許を取得し、長い間運転を楽しんでいらっしゃいましたが、平成31年(2019年)に運転免許の更新をされませんでした。
現在の天皇陛下は運転免許を持っておらず、秋篠宮皇嗣殿下は運転免許を持っていると言われています。皇后雅子さまは結婚前に一般の方法で運転免許を取得されました。
皇室の方々は、通常、皇居内で警視庁の担当者から実技指導を受けたり、筆記試験の準備を行ったりします。
これにより、一般の自動車学校とは異なる形で運転免許の取得が行われることがあります。
皇室の成員が運転免許を持つことの背景には、戸籍や住民票などの公的記録がないため、一般国民とは異なる手続きが必要です。
結婚により皇室に入る女性は、戸籍が抹消され、皇統譜に名前が記されるため、戸籍や住民票が不要となります。
逆に、皇室を離れる女性は、再び一般の戸籍に名前を戻す手続きが必要です。これらの違いは、皇室特有の状況と法的枠組みに基づくものです。