毎年3月3日のひな祭りには、母方の祖父母から受け継いだ雛人形を通して、家族が女の子の成長と幸福を願います。
近年、コンパクトな平段やガラスケース入りの3段飾りが人気を博していますが、どの雛飾りもお内裏様とお雛様は欠かせません。
しかし、雛人形の起源は何でしょうか？
特別な意味はあるのでしょうか？
これまでのひな祭りでの飾り付けには、知られざる真実が隠されています。
今回はその秘密に迫ります。
雛人形の誕生と進化
雛人形は「上巳の節句」の行事から派生しました。
この行事では、草や藁で作った人形に人の穢れを移し、それを川に流して厄を払っていました。
これに、貴族の子供たちが紙の人形で遊ぶ「ひいな遊び」が加わり、現在の雛人形が誕生しました。
「ひいな」には小さな愛らしいもの、という意味があります。
この風習は今も一部地域で行われていますが、江戸時代には人形作りが進化し、飾る文化へと変わりました。
ひな祭りの伝統：なぜひな人形を飾るのか？
ひな祭りは女の子の健康と幸福を祝う特別な日で、この節句は江戸時代に幕府によって3月3日と正式に決定されました。
それまでの上巳の節句は3月上旬の巳の日に行われており、この節句をベースに現在のひな祭りが形成されました。
この時期には、男の子のための端午の節句として鎧兜やこいのぼりを飾る習慣があり、それと対をなす形で女の子の節句が設けられました。
上巳の節句では、昔ながらの「流し雛」の風習を受け継ぎつつ、雛人形を飾る習慣が確立しました。
雛人形は災厄を代わりに受ける「ひとがた」としての役割を担っています。
そのため、女の子の節句に雛人形を飾ることは、彼女たちの将来への幸福と健康を願う行為とされています。
さらに、女性が旅行や嫁入りの際に災いが降りかかるのを防ぐため、雛人形を身代わりとして持ち歩く習慣もありました。
この背景から、雛人形は上流階級の女性の嫁入り道具としても大切にされ、良縁と幸せな結婚を願って男女のペアで作られるようになりました。
これによって、理想的な夫婦を象徴する天皇や皇后の姿を模した雛人形が作られるようになったのです。
雛人形を飾る最適な時期
一般的にひな祭りは3月3日に祝われますが、旧暦を用いる地域では4月3日がその日にあたります。ここでは、よく行われる3月3日のひな祭りに焦点を当てて説明します。
雛人形は立春の直後、つまり節分が過ぎた後から3月中旬までの期間に飾るのが適しています。
多くの場合、ひな祭りの一週間前、遅くとも2月下旬には飾ることが望ましいです。
特に「大安」と呼ばれる日に飾るのが吉とされています。
大安は、新しいことを始めるのに最適な日とされ、移転や結婚などの大事な行事に選ばれることが多いです。
飾るのにおすすめの日は以下の通りです:
– 2月4日（立春）：暦の上で春が始まるとされる日。
– 2月19日頃（雨水）：立春から15日目頃にあたる二十四節気の一つ。
– 大安の日：何をするにも良い日とされる。
もし上記の日が都合が悪い場合、天気の良い日や家族が揃っている日に飾るのも良いでしょう。
晴れた日に家族で飾ると、その楽しい雰囲気が雛人形にも良い影響を与えると言われています。
雛人形の飾る向きについて、「北向きは縁起が悪い」という説もありますが、これは特定の地域や信仰に基づくものであり、一般的には定められた規則はありません。
ただし、直射日光が当たる場所や高温多湿の場所は避けるべきです。
地域によっては飾り付けや片付けの日に特有の慣習があるため、年配の方がいる家庭では、その意見を聞き取るのも一つの方法です。
雛人形の片付けはいつ行うべき？
ひな祭りが終了した後、雛人形をどのくらいの期間飾っておくのが適切かについては多くの意見があります。
雛人形を早く片付けないと結婚が遅れるという言い伝えもありますが、これは早めに片付けるよう促すための迷信であるとも言われています。
実際には、飾っている期間が長すぎると、人形が劣化する可能性があるため、なるべく早くしまうことが推奨されています。
ひな祭りが終わったら、天気の良い乾燥した日を選んで片付けるとよいでしょう。
遅く片付けると結婚が遅れるというのは本当？
「雛人形を早く片付けないと結婚が遅れる」という言い伝えは、日本の家庭でよく耳にするかもしれません。
この言い伝えにはいくつかの理由があります。
一つ目は、家事をしっかりとこなせない人は、結婚が遅れがちだとされるため、雛人形の片付けもその一環と見なされることがあります。
二つ目は、雛人形が厄除けの役割を持つため、長く飾り続けることで不運を再び引き寄せてしまうという迷信があります。
まとめ
時を超えて受け継がれる雛人形には、親が子に対する深い愛情が込められています。
この記事を通じて、雛人形に対する理解が深まり、見方が変わったかもしれません。
雛人形を飾る習慣は、単なる飾りではなく、子どもの健やかな成長と幸福を願う親心の表れなのです。
