四国の88寺巡りを始めるにあたり、最初にどのような活動をすればいいのかは迷うものです。
この記事では、霊山寺での具体的な行動手順について解説します。
四国の88寺巡りとは何か?
「四国八十八ヶ所」の読み方は「しこくはちじゅうはっかしょ」となります。
「四国八十八ヶ所巡礼」、「四国遍路」など、様々な呼び方が存在します。
これらは、真言宗の開祖である空海(弘法大師)にゆかりのある四国内の88か所の寺を巡る巡礼です。巡礼者は「お遍路さん」と呼ばれています。
空海は人々を救うためにこれらの霊場を開設し、彼の入定後に修行僧がこれらを巡り始めたとされています。
一番札所とは何か?
四国の88寺の中で1番目の寺院を「一番札所」と呼び、それぞれの寺に札所番号が割り当てられています。一番札所は霊山寺として知られ、親しみを込めて「一番さん」とも呼ばれます。
霊山寺は徳島県鳴門市に位置し、奈良時代に聖武天皇の命によって行基が開いた寺です。後に弘法大師がこの寺で修行し、霊場開設の成就を祈願しました。
霊山寺が一番札所に選ばれた理由は、弘法大師による開設と、その地理的な位置、鳴門市の港に近いことなど、様々な理由が考えられます。
巡り方は、一番札所から始まる「順打ち」が一般的であり、多くの巡礼者がここから旅を開始します。逆に、最後の札所から始める巡り方を「逆打ち」と呼びます。
【初訪問者向け】霊山寺での過ごし方を探る
霊山寺を訪れる際に最初にどう行動すべきか、特に初めてのお遍路の方々に向けて具体的なガイドを提供します。
お遍路初心者が揃えるべきアイテム
霊山寺へ到着した際、最初にお遍路用の必需品を手に入れることが推奨されます。
霊山寺内の納経所では、お遍路用品を販売しており、納経所はお参りの記録を残すための御朱印を提供する場所です。
また、霊山寺周辺の門前市街にもお遍路用品を扱う店舗があります。
ほとんどの寺院でも基本的な消耗品は扱っていますが、一通り揃う場所は少ないので、霊山寺で購入することをおすすめします。
インターネットでの購入も可能ですが、重たい物は現地での購入が便利です。
必要なお遍路アイテムの例を以下に挙げますが、全てを揃える必要はありません。必要だと感じるものだけを選んで購入してください。
納経帳(のうきょうちょう)
各寺院ごとに御朱印を記録するための専用の帳面です。
菅笠(すげがさ)
これは、日光や雨から身を守るために使用される帽子です。
菅笠には、以下のような文字が記されています。
これらの言葉は、お遍路の旅の精神的な支えとなります。
「迷故三界城 悟故十方空 本来東西無 何処南北有」という言葉は、
迷いがある限り心は束縛され、悟りを得ることで真の自由が理解されるという意味です。
昔から、これらの言葉は真言宗や禅宗の葬式で使われ、お遍路の途中で亡くなった場合、菅笠で覆い棺桶の代わりに用いられていました。
白衣(びゃくえ・はくえ)
お遍路さんが通常身につける正装であり、過去には死装束としての意味合いも持っていました。現在では、普段の服の上に白衣を着ることが一般的です。
金剛杖(こんごうづえ)
金剛杖はお遍路の最も重要なアイテムであり、弘法大師の分身とされています。
過去には、亡くなったお遍路さんの供養のために使用されることもありました。現在も、金剛杖の上部は卒塔婆を模しており、布で保護されています。
輪袈裟(わげさ)
輪袈裟は僧侶が着用する袈裟を簡易化したもので、一般の参拝者がお寺で身につける適切な装いです。食事やトイレの際は脱ぐべきです。
数珠(じゅず)
数珠には本式と略式があり、四国八十八ヶ所巡りでは、一般的に真言宗の本式数珠を使用します。略式数珠は玉の数が少なく、どの宗派の人でも使用できます。
経本(きょうほん)
経本には各寺のご本尊の真言や般若心経などが記されています。ご本尊はその寺で最も尊い仏像や仏教的象徴です。真言は仏教の教えを表す秘密の言葉を意味します。
納め札の準備と使用方法
霊山寺を含む四国八十八ヶ所の各寺で、参拝者は本堂と大師堂に「納め札」を1枚ずつ奉納するのが慣例です。
これにより、一つの寺に対して合計で2枚の納め札が必要になります。
納め札には訪問日、住所、願い事、氏名、年齢を記入します。長文の願い事は裏面に記載するとよいでしょう。これらの情報は事前に記入しておくことが推奨されます。
納め札は名刺代わりとしても使用され、お遍路さん同士の挨拶や、お接待の際のお礼として交換されることがあります。
お接待は地元住民がお遍路さんに無償で提供する飲食物や宿泊施設を指し、四国特有のおもてなし文化です。
線香、ろうそく、点火用具
お参りには線香とろうそくが必須で、点火するためのマッチやライターも必要です。
特に風防付きのライターが推奨され、風防カバーは100円ショップでも入手可能です。
頭陀袋(ずだぶくろ)
納経帳、納め札、数珠、経本、線香、ろうそく、点火用具などのお参り用品を携帯するための袋です。
これを斜めに肩からかけて持ち歩くことで、必要な物をすぐに取り出せます。山谷袋(さんやぶくろ)とも称されます。
参拝開始
四国八十八ヶ所巡礼の初めは、一番札所である霊山寺からです。以下に、霊山寺を含む各札所での一般的な参拝手順を説明します。
1. 山門での礼拝
寺の入口にある山門(仁王門)で、手を合わせて一礼します。通行は山門の中央を避け、側を歩くのが一般的です。
2. 手水の作法
手水舎で手を洗い、口をすすいで身を清めます。
3. 鐘の撞き方
寺によっては鐘を撞くことが許可されている場所とそうでない場所があります。鐘が撞ける場合は、参拝前に一回撞きます。霊山寺では鐘楼で鐘を撞くことができますが、撞かなくても差し支えありません。
4. 本堂での参拝
以下に本堂での参拝方法を詳しく説明します。
① 灯明の点火
持参したろうそくをろうそく立てに設置し、着火します。他人のろうそくから火を移すのは避け、ろうそくは奥から順に立てることが推奨されます。
② 線香の奉納
3本の線香に火をつけ、香炉に立てます。これも、他人のろうそくや自分のライターで点火し、香炉の中央から立てるのがマナーです。
③ 納め札の奉納
納め札を納札箱に、お賽銭はお賽銭箱に入れます。写経を行う場合は、写経箱に奉納します。
④ 鰐口(わにぐち)の操作
鰐口(お寺の募金箱のこと)を操作して音を出します。
⑤ 再度の礼拝
再び手を合わせて一礼します。
⑥ 読経
経本を参照しながら読経します。初めての場合、声を出して読むのが恥ずかしければ、小声または心の中で唱えても構いません。慣れてくると自然と大きな声で読めるようになります。数珠は左手で持ち、本式数珠は二重に、略式数珠はそのままで持ちます。
これらのステップに従えば、霊山寺を含む四国八十八ヶ所の寺院での参拝がスムーズに行えます。
霊山寺での詳細なお参り手順の下記のとおりです。
お参りの一連の流れ
霊山寺を含む四国八十八ヶ所の各寺院でのお参り手順は基本共通です。ここでは、霊山寺での具体的な参拝手順を詳述します。
1. 山門での礼拝
霊山寺の入口である山門(仁王門)にて、手を合わせて一礼し、入る際は山門の中央を避け左側を通ります。
2. 手水の作法
手水舎で手を洗い、口をすすぎます。
3. 鐘の撞き方
霊山寺では参拝前に鐘楼で鐘を撞くことが可能ですが、必須ではありません。撞けるかどうかは各寺院により異なるので確認が必要です。
4. 本堂での参拝手順
本堂にて次のように行います。
懺悔文(さんげもん)の唱え方
三帰(さんき)の唱え方
三竟(さんきょう)の唱え方
十善戒(じゅうぜんかい)の唱え方
5. 大師堂でのお参り
弘法大師をまつる大師堂へお参りし、本堂と同じ手順を行いますが、ご本尊の真言は唱えません。
6. 納経所での訪問
納経所で御朱印を受け取ります。
7. 山門での終礼
参拝を終えた後、山門で手を合わせて再び一礼し、左側を通りながら退場します。
まとめ
これで霊山寺でのお参りの流れがご理解いただけたかと思います。
何か不明な点があれば、他の参拝者や寺院のスタッフに尋ねるのも良いでしょう。
霊山寺は多くの参拝者の出発点であり、必要な物資も充実していますが、他の起点から始める場合は事前に必要な物を準備しておくことをお勧めします。