盆の期間中に見られるキュウリとナスの人形の深い意味とは?その製作方法を探る!

風習

お盆の際には、キュウリやナスに箸などを挿して作られた装飾が、霊棚や墓地でよく目にされます。

これらの装飾は精霊馬(または精霊牛)と称され、その背景にはどのような意義があるのでしょうか?

また、なぜキュウリやナスが選ばれ、他の野菜では代用できないのかという点も興味深いですね。

この記事では、盆に飾る精霊馬の詳細や、その作り方、設置と処分について説明します。

 

精霊馬の意味

盆期間中に飾るキュウリとナスは、精霊馬(しょうりょううま)と呼ばれています。

これは、故人の霊が極楽浄土から現世へ、または現世から極楽浄土へ移動する際の乗り物とされています。

特に、キュウリは精霊馬で、ナスは精霊牛とされ、これらの霊が使用する乗り物がなぜ馬や牛なのかというと、馬は霊が速やかに現世に帰ってくるため、牛は霊がのんびりとあの世へ帰るためとされています。

ただし、地域によってはこの解釈が逆転することもあります。

キュウリとナスが選ばれる理由は、どちらも夏に最盛期を迎え、手に入れやすいからです。

 

 

精霊馬の製作方法

精霊馬の製作は非常に簡単です。

必要なのはキュウリ、ナス、そして箸や爪楊枝、マッチ棒などです。

 

キュウリ

キュウリは少し曲がっているものを選ぶと、馬らしさが増します。

一方の端が上向きになるようにして、箸を足として挿入します。

足を長くすることで馬らしさを強調し、後ろ足を前足より短くすると動きが出ます。

また、足の間隔を広げると安定します。

 

ナス

ナスも同様に、少し曲がったものやヘタが上を向いたものを選びます。

ヘタを頭とし、キュウリ用に作ったよりも短い箸を足として使うとよいでしょう。

<youtube 紹介>

 

 

精霊馬の配置方法

精霊馬を配置する方法は多様で、通常は精霊棚(または盆棚)に展示されます。

この精霊棚は、仏壇の前に設置されることが多く、経机や小さいテーブルの上に真菰のゴザを敷いて、お供え物とともに精霊馬を配置します。

地域によっては、精霊棚を構成するために大小異なるテーブルを用意し、段差を作る習慣もあります。

精霊馬を精霊棚のどの位置に置くかは明確な規則はありませんが、精霊馬や精霊牛が先祖の霊を運ぶ乗り物とされるため、迎え盆の8月13日(または7月13日)には精霊棚の内側に、送り盆の8月16日(または7月16日)には外側に向けるのが一般的です。

迎え盆では精霊馬のみを玄関の方向に、送り盆では精霊牛のみを玄関の方向に向ける場合もあります。

また、霊が東から西へ移動するとされる地域では、きゅうりを西向き、なすを東向きに配置することもあります。

地域や宗派によって、精霊馬を精霊棚以外の場所、例えば玄関や門などに飾ることも一般的です。

精霊馬の配置や飾り方は多岐にわたるため、新しく移り住んだ場合は地域の風習を事前に確認することが望ましいです。

 

 

精霊馬や精霊牛の適切な処理方法

お盆期間中に祭り上げられる精霊馬や精霊牛は、伝統的には精霊流しとして川や海に流されることが一般的でした。

しかし、現代では環境保護の観点から、このような行為が多くの地域で禁止されています。

そこで、適切な処理方法についていくつかの代替案を紹介します。

 

1. お焚き上げ:

地域によっては、送り火を用いてお供え物や精霊馬を焼却することが行われます。

これは先祖の霊が煙とともにあの世へ帰るとされる古来からの習わしです。

ただし、これを自宅で行う際には、地域の規制や安全対策を確認する必要があります。

 

2. 土に埋める:

精霊馬が食材(きゅうりやなす)から作られている場合、生物分解性があるため、自宅の庭などに埋めることで自然に還す方法もあります。

 

3. 一般ごみとして処分:

通常のごみとして処分する場合は、精霊馬を清めるために塩やお酒で浄化し、適切に包んでから処分することが推奨されます。

これにより、敬意を表しつつ処理することができます。

特定の地域や寺院では今でも精霊流しを行うことが許可されている場合があるため、参加を希望する場合は事前に確認し、許可されている場所で行うようにしましょう。

 

ゴミに出すのは忍びないということで、供養をしてくれるお寺もあるようで動画で紹介されていました。

 

浄土真宗とお盆の習慣

お盆とは、故人や祖先の霊があの世からこの世へと戻る時期とされています。

しかし、すべての宗派で共通の見解というわけではありません。

特に浄土真宗では、この時期を異なる方法で過ごします。

浄土真宗の創始者、親鸞は、「お盆に祖先の霊が戻るということはない」と述べており、精霊馬や精霊牛など、霊が乗るとされる象徴を飾る必要はないとされています。

また、迎え火や送り火も行いませんし、盆提灯に関しても寺によって扱いが異なりますが、必ずしも飾る必要はありません。

それでも、浄土真宗がお盆を全く行わないわけではなく、「歓喜会」と称して親族が集まり、経を読んだり、お寺で法話を聞いたりすることがあります。

お盆の日程は、他の宗派と同じく、8月か7月の13日から16日の間に設定されています。

 

まとめ

まとめとして、他の宗派ではお盆にきゅうりやなすを用いた馬や牛の形を作り、霊の乗り物として精霊棚に飾る習慣がありますが、浄土真宗ではそのような習慣はありません。

代わりに、教えに基づいた歓喜会が行われ、親鸞の教えに沿った活動が中心となります。

ご先祖様に感謝する気持ちが一番大切かと思います。

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