宴会や記念の集まりでよく行われる手拍子は、集まりの終わりを美しく飾ります。
この手拍子を日本では「手締め」と呼び、地域によって異なる名称や形式が存在しますが、「一本締め」「一丁締め」「三本締め」が最も一般的です。
この記事では、これらの手締めの意味や違い、さらには適切な使い方について紹介します。
手締めの概要
「手締め」とは、「てじめ」と読み、「手打ち」とも表されます。
この言葉は「手で打ち締める」から来ています。
この習慣は、イベントを無事に終え、関わった全ての人々への感謝を表す日本特有の風習とされ、成約や成功した際にも用いられます。
一本締めの定義と手順
一本締めはしばしば誤解されがちですが、「一丁締め」とは異なり、複数の手拍子が特徴です。正式な一本締めの流れは次の通りです。
2.「いよーお」と掛け声をかけた後、参加者全員で「パパパン パパパン パパパンパン」とリズムに合わせて手拍子を行い、
3.「ありがとうございました」と感謝の言葉を述べて手拍子を終えます。
この手拍子のリズムは「パ・パ・パン」で3拍子を3回行い、最後に追加の1拍子を加えます。
これにより、「苦」という字の「9」から「丸くおさまる」を表す「丸」に変化させる意味合いがあります。
つまり、問題がすべて解決し、円満に終わることを象徴しています。三本締めの簡易版としても知られ、会やイベントの成功を祝います。
一丁締め（簡易締め）の手法とは
「簡易締め（一丁締め）」とは、地域によって「関東スタイルの締め」とも称されます。
この手法の進め方は次の通りです。
2.音頭を取る人が「いよーお」と呼びかけた後、全員が「パン」と一度だけ手を叩いて終了します。
この一丁締め（簡易締め）は、標準的な締め手法を簡略化した形です。
通常の締めや、より長い形式の場合は時間がかかるため、短縮版が使われることもあります。このため、終了時には拍手や礼を述べることはありません。
特に公共の場所や静かにしなければならない環境で、周囲を気にしながら控えめに実行されることがあります。
「関東スタイルの締め」という呼称は、特定の地域で簡易締めを標準締めと称することに由来します。また、この方式が身内だけの集まりで好まれる背景には、迅速に行える利点があるとされています。
三本締めの方法
三回締め（山塊締め）の手順は以下の通りです。
2.「いよーお」と音頭を取った後、参加者全員で「パパパン パパパン パパパンパン」と手を叩きます。
「よっ」と声をかけてから再び「パパパン パパパン パパパンパン」と手を叩きます。
3.次に「もう一丁」あるいは「もう一本」と声をかけ、「パパパン パパパン パパパンパン」と繰り返します。
4.最後に「ありがとうございました」と礼を述べて拍手で終了します。
この三回締めは、通常の一本締めを三度行う形式で、お祝い事に用いられることが多いです。
公式な場やフォーマルな席では、この三回締めが正式な方法とされています。
「いよーお」という掛け声は、「祝おう」という言葉が変化したものです。
大阪式締めとは？
大阪式締めは、主に大阪を含む関西地方で行われる手締めです。
この方法では、以下のステップで進行します。
2.「パンパン」と手拍子を行い、
3.「もひとつせぇー！」と声をかけて再び「パンパン」と手拍子、
4.「祝うて三度」と声をかけて「パパン、パン」と手拍子を行い、
5.最後に「ありがとうございました」と言って拍手で終了します。
博多の伝統的手締め「博多手一本」
「博多手一本」は、福岡県博多地区で特によく行われる伝統的な手締めの形式です。
この手締めの流れは以下の通りです。
2.手を「パンパン」と二回叩き、
3.次に「も一つ」と呼びかけて再び3.「パンパン」と手を叩き、
4.最後に「祝うて三度」と声を掛けた後、「パパン・パン」と叩いて終えます。
博多手一本は会を締めくくる意味合いが強く、「異議なし」という合意を示す場面で用いられます。
このため、終了時に追加の拍手や感謝の言葉を伴わないのが特徴です。
締めの種類とその場面における違い
各種手締めには以下のような違いがあります。
・拍手の回数に違いがあります。
・使用する場面も異なります。
このように、締めの形式はその使用される文脈によって異なります。
特に手締めは、行事の主催者が参加者へ感謝を示すための手段として利用されるため、来賓が主導して行うことは避けるべきです。
また、未知の来賓に手締めを依頼することは不適切であると認識し、適切なマナーを心掛けることが求められます。
