「初午」という言葉を聞いたことはありますか?
地域や家庭によっては毎年大々的にお祝いされることがありますが、馴染みのない方にとっては「初午とは何だろう?」と疑問に思うかもしれません。
初午は、古くから続く伝統行事のひとつで、日本全国の稲荷神社を中心に様々な形でお祝いされる行事です。
特に商売繁盛や農作物の豊作を願う日として、昔から多くの人々に親しまれてきました。
この日は、家族で集まりいなり寿司を食べる風習があり、これには深い由来があります。
神社では特別な神事が執り行われ、地元の人々や観光客が集まって賑わいます。お祭りの雰囲気の中、露店が立ち並び、郷土料理を楽しむこともできます。
ここでは、初午とは何なのか、2025年の日程、そしてなぜいなり寿司を食べるのかについて紹介します。また、各地の初午祭の様子や、現代における初午の楽しみ方についても触れていきます。
初午とは?2025年の日程
初午(はつうま)は、2月に訪れる最初の「午(うま)の日」を指します。
「午」は十二支の一つで、干支と同様に日付にも用いられていました。十二支には以下の動物が含まれます。
- 子(ね)
- 丑(うし)
- 寅(とら)
- 卯(う)
- 辰(たつ)
- 巳(み)
- 午(うま)
- 未(ひつじ)
- 申(さる)
- 酉(とり)
- 戌(いぬ)
- 亥(い)
日付に十二支を当てはめると、1日目が「子」、2日目が「丑」と進み、12日ごとに一巡します。このようにして、2月最初の「午」にあたる日を「初午」と呼びます。
2025年の初午は、2月6日(木)です。
かつて立春(2月4日ごろ)が1年の始まりとされていたため、初午はその年の運勢や農作業の始まりを占う重要な日とされていました。
現在でも旧暦に基づいて初午祭を行う神社もあり、2025年の旧暦の初午は3月2日(日)となります。
初午の由来
初午の起源は奈良時代にさかのぼります。和銅4年(711年)、五穀豊穣を司る神である宇迦之御魂(うかのみたま)が、京都の稲荷山に降臨したとされています。この降臨の地が後に伏見稲荷大社として崇敬を集め、日本全国に広がる稲荷信仰の起源となりました。
これを記念して「初午祭」が行われるようになり、宇迦之御魂は伏見稲荷大社に祀られました。
この祭りは、地域によって独自の風習が加わり、現在では多くの神社で様々な行事が催される一大イベントとなっています。
例えば、京都では華やかな神輿行列が繰り広げられ、地元の人々や観光客がこぞって参拝します。また、初午の日には神社周辺に屋台が立ち並び、参拝者は伝統的な食べ物や工芸品を楽しむことができます。
農村では、初午の日に田畑の神々へ感謝を捧げ、五穀豊穣を願う儀式が行われます。農家の人々はこの日を境に本格的な農作業の準備を始めるとされ、昔からの風習として根付いています。
一方、都市部では商売繁盛を祈願し、商店街や企業の関係者が集まり祈祷を受けることも多く見られます。
また、2月中に2回目、3回目の午の日が巡ってくることがあり、これを「二の午」「三の午」と呼びます。特に、三の午まで祝う地域では、豊作をさらに強く願う意味合いが込められており、神社では特別なご祈祷が行われることもあります。
なぜ初午にいなり寿司を食べるのか?
初午の日に食べるいなり寿司は「初午いなり」と呼ばれます。
伏見稲荷大社は全国の稲荷神社の総本社であり、稲荷神社は宇迦之御魂を祀る神社です。稲荷神は、稲荷大明神やお稲荷様とも呼ばれ、五穀豊穣を司る神として広く信仰されています。
稲荷神社では、狐が神の使いとして祀られており、狐の好物とされる油揚げが供えられます。これが由来となり、油揚げの中に酢飯を詰めた「いなり寿司」を食べる習慣が広まりました。
いなり寿司は、甘辛く煮た油揚げと酢飯の組み合わせが絶妙で、日本人にとって親しみやすい味わいとして根付いています。
また、いなり寿司の形が米俵に似ていることから、豊作を祈る意味も込められています。
各地の稲荷神社では、特別に大きないなり寿司を作るイベントが開催されたり、地域独自のレシピで親しまれたりしています。
例えば、地域によってはごまや山菜を加えたバリエーションが存在し、初午のいなり寿司は多様な楽しみ方があることが特徴です。
近年では、スーパーや飲食店でも「初午いなり」が特別メニューとして販売されることが増えており、家庭でも手軽に楽しめるようになりました。
さらに、いなり寿司作りのワークショップが開かれるなど、家族で楽しめる行事としても注目されています。SNSを通じて手作りのいなり寿司をシェアする人も増え、伝統的な文化が現代風にアレンジされながら広がりを見せています。
まとめ
初午の日には、全国の稲荷神社で油揚げが奉納され、大きな神社では祭りが開催されます。祭りでは、神社の境内に多くの露店が立ち並び、いなり寿司をはじめとした様々な食べ物が販売されます。
参拝者は縁起物を手に入れたり、伝統的な舞踊や音楽を楽しむことができます。特に、京都の伏見稲荷大社では、全国からの参拝者でにぎわい、華やかな雰囲気に包まれます。
最近では地域振興の一環として、初午の日にいなり寿司を食べるイベントも行われています。
これらのイベントでは、地域の特産品を使ったオリジナルのいなり寿司が登場するなど、地域ごとの特色が感じられます。商店街やショッピングモールでも、特設コーナーが設けられ、特別メニューが提供されることが増えています。
五穀豊穣や商売繁盛を願い、参拝後に家族でいなり寿司を味わってみるのも素敵な過ごし方ですね。
多くの家庭では、家族が集まって手作りのいなり寿司を楽しむ風習が残っており、親子で料理をしながら初午の由来を語り合う機会ともなっています。
さらに、SNSなどを通じて、初午の文化を広める活動も増えており、若い世代にも関心が高まっています。
インフルエンサーが初午の魅力を発信したり、オリジナルのいなり寿司のアレンジレシピが話題になることもあります。こうした動きにより、伝統行事が現代風にアレンジされ、新たな形での楽しみ方が広がっています。