寒露(かんろ)は、季節を示す言葉の一つです。
その漢字から厳しい寒さを連想しがちですが、実際には冬の訪れ直前の時期を指し、朝晩の空気がひんやりと感じられる頃を指します。
この時期には、多くの人が夏服をしまい、秋や冬の衣服を準備する「衣替え」を始めます。
では、寒露とは具体的にどんな意味を持っているのでしょうか。
また、いつ頃の時期を指すのでしょうか。
ここでは、寒露について詳しく見ていきます。
大見出し:寒露の意味とは?
寒露(かんろ)は、二十四節気の中で17番目の節気です。
この時期は、露が冷え込みによって凍りつきそうになることを意味し、寒さが増すことを示しています。
急に気温が下がり、植物に露がつくという解釈もあります。
朝露が冷えた空気にさらされて霜になる直前の時期、またはその露を寒露と呼びます。
この頃、ガンやツグミ、オオハクチョウといった渡り鳥が北から日本に飛来し、菊が開花し、コオロギなどの虫の声が聞こえ始める時期とされています。
江戸時代の『暦便覧』では、「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と表現されています。
由来としては、二十四節気がもとになっています。
二十四節気は春分、夏至、秋分、冬至の二至二分が起源で、紀元前1600年から紀元前1046年の殷の時代に中国で生まれました。さらに、立冬や立夏を加えて八節が成立し、それが紀元前770年まで続く西周で確立されたと考えられています。
二十四節気としての確立は、春秋戦国時代のこととされています。
1年を24に分けたこの体系は、四季をさらに4つに分割したものです。
旧暦では、8月後半から9月前半にあたります。
そのため、日本の気候と完全には一致しないものの、毎年同じ時期に巡ってくることから、農業の目安として重宝されました。
農家にとって寒露は収穫の最盛期で、多忙を極める時期です。
また、空気が澄むことで月や星を楽しむのに最適な時期でもあります。
中秋の名月(十五夜)の次に美しいとされる十三夜が見られ、この時期には栗や豆をお供えする「豆名月」や「栗名月」と呼ばれる風習があります。
2024年の寒露はいつ?
2024年の寒露は10月8日(火)です。
この時期は毎年10月8日ごろから、次の節気である「霜降」の前日(10月22日)までを指します。
この時期には、日中の暑さが和らぎ過ごしやすくなる一方、朝晩は冷え込み始めるため、体調管理に注意が必要です。
二十四節気の日時は、太陽の動きに基づいて決まっており、日本では国立天文台が公式に発表しています。
詳しいカレンダーを知りたい場合は、国立天文台のウェブサイトを訪れると、天体観測に関するさまざまな情報が得られます。
※寒露の日も、国立天文台の情報を参考にしています。
寒露の季語としての意味
寒露を季語として使用する場合、秋を表す言葉で、特に晩秋の意味を持ちます。
この時期は秋の終わりを感じさせるため、俳句などでよく使われます。
寒露の候の使用法
「寒露の候」という挨拶は、寒露の時期にのみ使用されます。
具体的には、10月8日から10月23日の間に使うことができます。
寒露の候を用いた例文
時候の挨拶としては、「寒露の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます」などの表現が適しています。
このように、他の時候の挨拶と同様に使用できます。
寒露の時期に楽しむ旬の食べ物
寒露に味わいたい旬の食材をご紹介します。
**すだち**
すだちはお盆の頃から10月中旬までが旬です。寒露の時期も旬の終わりにあたります。
**栗**
9月から10月にかけてが栗の旬です。秋の味覚として人気があります。
**サンマ**
サンマも9月から10月にかけてが旬です。脂がのった美味しい時期です。
**松茸**
松茸は9月から10月が最も美味しい季節です。
**レンコン**
レンコンの旬は10月から2月までで、冬に向けて美味しさが増します。
**りんご**
りんごは10月から12月にかけてが旬で、寒露の時期にも新鮮なものが楽しめます。
**銀杏**
銀杏は10月から11月にかけてが旬で、秋の風味を楽しむことができます。
寒露に関する風習
寒露の時期には、十三夜の月を楽しむ風習があります。
ただし、これは旧暦の9月13日であり、年によっては日付が大きく変わることがあります。
2024年では10月8日が該当します。
その他には、秋の運動会や文化祭など、学校行事が多く開催される時期でもあります。
ただ、この時期は特に大きな伝統行事が少ないため、比較的静かな季節とも言えるでしょう。
中国では、節句を旧暦で祝う風習があり、寒露の時期には旧暦の9月9日にあたる重陽の節句が行われることがあります。
この日には特別な行事が催されることが多いようです。
寒露の時期に行われる行事やイベント
寒露の時期に行われるイベントを見ていきましょう。
**伊勢神宮神嘗祭**
神嘗祭は毎年10月17日に行われる重要な宮中行事で、天皇がその年の新米を伊勢神宮に供える神聖な祭りです。
**鞍馬の火祭り**
これは京都市左京区鞍馬の由岐神社で毎年10月に行われる祭りで、盛大に火を焚くイベントです。
**清水港マグロまつり**
マグロを楽しむことに特化したイベントで、マグロ好きにはたまらない祭りです。
**那覇大綱挽まつり**
体育の日を含む3連休に行われる沖縄県那覇市のお祭りで、全長200mの大綱を用いた綱引きが見どころです。
**六殿宮秋季例大祭**
毎年10月9日に熊本県熊本市で開催され、流鏑馬や神楽が奉納される祭りで、テレビ映えするイベントです。
**佐原の大祭 秋祭り**
千葉県香取市佐原で行われる関東三大山車祭りの一つで、盛大な山車が見どころです。
**えびす講**
神無月にあたる10月20日か11月20日に行われる祭りで、地域によって異なりますが、群馬県、栃木県、東京都、山梨などの関東圏では10月20日頃に活気づきます。
寒露の時期に咲く花
寒露の時期に咲いている花を見てみましょう。
**キンモクセイ**
9月から10月に咲く香りの良い花です。
**コスモス**
6月から11月にかけて長い期間咲く花です。
**茶ノ木**
9月下旬から12月上旬にかけて花を咲かせます。
寒露のまとめ
寒露は二十四節気の一つで、秋を表す言葉です。
また、十五夜が有名ですが、十三夜も同様に美しい月を楽しめる時期です。
今年の寒露には、ぜひ十三夜の月を眺めてみてはいかがでしょうか。