7月が始まると、よくテレビの天気予報で「小暑」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
日本は南北に長いため、地域によって季節の感じ方には大きな違いがあります。しかし、「暑」という文字が含まれていることから、夏を象徴する季語であることが伺えます。
また、「小」という文字が使われていることから、完全には夏になる前の、やや暑い時期を指すのかもしれません。
ただし、この言葉が示す気温は、北海道ではほどほどかもしれない一方で、沖縄では「全然小さくない暑さ」と感じられるかもしれません。
これは、地域による気候の違いが日本特有のものと言えるでしょう。
それでは、「小暑」とは具体的にどういう意味なのでしょうか。今回はこの点について探ってみました。
「小暑」の定義
「小暑」とは、二十四節気の一つであり、「少し暑い」という意味があります。
この時期は、本格的な暑さが始まる前の段階を表します。二十四節気の中で11番目に位置しています。
小暑の時期は、梅雨が明けようとする頃合いで、梅雨入りがまだの場合は「梅雨入りなし」とされることがあります。
この時期には、ミンミンゼミやアブラゼミが鳴き始め、温かい風が吹き、蓮の花が開花し、鷹の子が鳴き声を覚えるころとされています。
2025年の「小暑」はいつ?
2025年の小暑は7月7日(月)に設定されています。
二十四節気は日付が固定されていないため、毎年異なる日に設定されます。
7月7日から次の節気である「大暑」の7月23日までの約15日間が小暑の期間です。
二十四節気は太陽の位置に基づいて決定され、国立天文台がこれを観測し、節気の変わり目を公表しています。小暑の詳細も国立天文台の発表によるものです。
「小暑」期間の日本の伝統的な行事と風習
「小暑」の期間、7月7日から22日にかけて、日本ではさまざまな伝統行事が行われます。この時期は、特に七夕が広く知られています。
7月7日は、多くの人が七夕の風習を思い浮かべます。この日には、願いごとを短冊に書き、笹竹に結びつけるという行事が行われます。七夕は「星祭り」とも呼ばれ、願い事を星に託す美しい風習です。
また、この時期からは暑中見舞いの準備も始まり、多くの人が忙しくなります。学生にとっては夏休み前の最終段階であり、学業に最後の力を注ぐ時期でもあります。
「小暑」期間の特別な行事やイベント
七夕のほかにも、小暑の時期には多様な行事が日本全国で行われます。
例えば、京都の祇園祭は7月を通じて開催される歴史ある祭りで、石川県のあばれ祭は7月の第一金曜日と土曜日に開催され、大松明乱舞が見どころです。
奈良県の風鎮大祭は7月の第一日曜日に龍田大社で行われるお祭りで、博多祇園山笠は7月1日から15日まで福岡の櫛田神社で開催されます。
浅草ほおずき市は7月9日または10日に浅草で行われ、浴衣を着た人々が楽しむ様子が見られます。また、和歌山県の那智の火祭りは熊野那智大社で開催される例大祭です。
これらの行事は、小暑の期間に集中しており、日本の夏の始まりを告げる重要な文化的行事となっています。
小暑の季節に楽しむ食材と食べ物
7月7日から22日にかけての小暑の期間におすすめの食材をご紹介します。
**そうめん**
そうめんは夏に冷たくして食べることが多く、特に七夕の際に好んで食されます。
**麦縄(索餅、冷や麦、うどん)**
夏になると冷たい麦類の麺が美味しく感じられます。これには、うどんや冷や麦が含まれます。
**こんぺいとう**
金平糖は七夕に関連する和菓子として古くから親しまれています。
**梅酒**
梅雨時に作られる梅酒は、この時期にちょうど飲み頃を迎えることが多いです。
**とうもろこし**
夏の代表的な食材であるトウモロコシは、特に7月と8月が旬です。
**枝豆**
枝豆は夏の風物詩で、6月から8月にかけてが旬期間です。
**夏みかん**
夏みかんは、4月から7月までが旬で、夏の初めに美味しく食べられます。
**あんず**
あんずの最も美味しい時期は、6月から7月です。
**桃**
桃は7月と8月にかけて最も美味しい季節を迎えます。
**マンゴー**
国によって旬の時期が異なるマンゴーですが、日本では6月から8月が最適です。
**スイカ**
スイカもまた、夏の代表的な食べ物で7月が旬です。
小暑の時期に楽しむ花々
小暑の季節に見頃を迎える花々を紹介します。
**さるすべり(百日紅)**
百日紅は7月から10月にかけて花を咲かせ、夏から秋にかけての美しい色を楽しめます。
**ラベンダー**
ラベンダーの花は、5月から7月にかけてその美しい紫色の花を見せます。
**ジャスミン**
ジャスミンは春の終わりから初夏にかけて咲きますが、その仲間である茉莉花や素馨は7月に美しい花を開きます。
**なでしこ**
なでしこの花は6月から9月にかけて、日本の夏を彩ります。
**ききょう**
ききょうは、6月から9月にかけて咲く美しい花で、和の風情を感じさせます。
**あさがお**
朝顔は、7月から9月にかけて早朝に美しい花を咲かせ、日本の夏の象徴の一つです。
**くちなし**
クチナシは6月から7月にかけて、その甘い香りで知られる花を咲かせます。
「小暑の候」とは – 日本の季節の挨拶の使い方
「小暑の候」は、日本の伝統的な時候の挨拶の一つで、特に小暑の期間に適した表現です。
この挨拶は他の時候の挨拶と同様に使いますが、小暑の期間に限定されているため、二十四節気のカレンダーに沿って正確に使うことが重要です。
例文:「小暑の候、貴社益々のご隆盛をお慶び申し上げます。」
この挨拶は、季節の変わり目に合わせて様々な文脈で応用が可能です。
小暑とは – 俳句における季語として
小暑は俳句における夏の季語としても使用されます。
この時期は夏の始まりを象徴し、多くの作品で表現されています。
例えば、皆吉爽雨氏の俳句「あぎともて 病後もの食ふ 小暑かな」は、この季節を感じさせる一節です。
小暑と大暑の違い
小暑と大暑はどちらも夏の節気ですが、その時期と意味に違いがあります。
小暑は夏の暑さが始まる時期を指し、大暑は夏の最も暑い時期を示します。
これらの節気は、夏の挨拶や暑中見舞いの文脈でしばしば参照されますが、その使用には注意が必要です。
まとめ
日本では多くの中国由来の文化や風習が根付いています。
二十四節気もその一つで、漢字を使って表記されるため、意味を直感的に理解することができます。「
小暑」は文字通り「少し暑い」という意味で、これから夏が本格化することを示しており、中国と日本の文化的なつながりを感じさせる表現です。